羽生の非常に心配な調子 Japan Times
はーー、長い。IceTimeはいつも長くて読み応えがありますね。(訳しごたえも・・・!)
羽生選手や友野選手についての海外解説者のコメントも含めて
ロステレ杯の振り返りと、今週末のフランス杯について、
それから白岩優奈ちゃんのクラウドファンディングについての記事です。
Hanyu's health a paramount concern | The Japan Times
もし一つの国が金メダルと銅メダルをGPシリーズの同じ大会で獲得したら、普通はとても成功した週末になるだろう。
しかしロシアカップで羽生結弦が勝利し、友野一希が3位に入った日本の喜びは、2度のオリンピックメダリストの怪我によって退けられた。
彼のキャリアで最も素晴らしかったSP「Otonal 秋によせて」の翌日、このスーパースターは土曜日の朝の練習でクアドループを飛んだ時、右足首をひねった。
ほとんど歩くこともできないような状態にもかかわらず、数時間後には羽生はブーツを履き、フリースケートを滑った。そして当然のように勝利した。棄権してもおかしくないような、仙台生まれの彼によるこのパフォーマンスは非常に勇気付けられるものだった。彼の頭にはきっと、多くのファンが駆けつけて応援してくれていることや、エフゲニー プルシェンコにFSを捧げることがあったのだろう。
最近では他のスポーツの多くのアスリート達が、ちょっとした怪我の兆候を感じたら避けようとする。これは、近年では絶対的な恥だと考えられるようになってきた。NBAを見れば参考になるだろう。
しかし羽生にとっては違う。彼は古い学校のように、男は男らしく、そして頑丈さが尊敬されていた時代に私たちをつれ戻ったようだ。そして再び、彼は怪我をしても立ち上がった。
2014年の中国杯でハン=ヤンとの衝突による怪我、昨年のNHK杯での深刻な足首の怪我、そして今、モスクワでの怪我。
問題は、来月バンクーバーで行われるGPファイナルと大阪で行われる全日本大会に、羽生が出られるかどうかだ。どちらもかなり難しそうに見える。
怪我は確かに残念ではあるが、Ice Timeはファンがこの右足首の怪我が慢性的なものになるのを望んでいないと確信している。もしかしたら、その可能性もあるのだ。
トレーニングに戻る前に、怪我を確実に直す必要がある。ゆづは非常にアグレッシブなアスリートで、舞台裏に引き止めることは簡単ではない。コーチであるブライアン オーサーとトレイシー ウィルソンがゆづ自身から彼を守らねばならないだろう。
間違いなく羽生が誰よりもこの怪我を悔いている。もちろん外に出て戦いたいのだ。私は、日本のファンが彼の競技での滑りを2年間見られていないことを気の毒に思う。(2016年札幌でのNHK杯以来滑っていないのだ)
もし彼が全日本に出場しなければ、来年3月に埼玉で開催される世界選手権まで、2年半に延長されるだろう。全ての人が世界中を旅して羽生の大会を応援に行けるわけではないと覚えておく必要がある。
怪我のためにあまり注目されていないが、今回の優勝によって、羽生はシニアのGPシリーズ初の同年2勝をあげている。
羽生のSPでの世界記録、110.53は驚異的だ。彼が非常に高いジャンプを飛んだ時、ついに完璧な状態で復活したと感じたのを覚えている。
ユーロスポーツのサイモン リードは賛辞を送り続けた。SPの後にこうコメントした。
「もはや彼はほとんどこのスポーツを超えるステージに来ている。数年前のタイガー ウッズやロジャー フェデラーのようだ。彼はどうしてこんなにも成長し続けられるんだ?彼はすでに7、8年もの間このスポーツでトップにい続けている。にもかかわらず進化し続けているんだ!彼はもう一貫して全く素晴らしい!」
リードと共に放送をしていたクリス ハワーズはこれに答えようとした。
「彼は明らかにまだこのスポーツを愛しているし、戦うことも愛している。正直に言って、すごく簡単そうに見える。全ての動きが一瞬で終わってしまって、プログラムの細かいところまで注意が行かないんだ」
「技術的に、ただただ素晴らしい。あの素晴らしい柔らかな膝の屈伸。上半身は全く動かない。これ以上良い彼を見たことがないと思うね。信じられない出来だ」
彼らは怪我によってジャンプの構成を下げざるを得なかったFS「Origin」でも驚愕している。
CBCの解説者であり4度の世界チャンピオン、カート ブラウニングは「彼はとてもユニークな独特の足さばきをしている。氷の上でスピードを出すときの方法。両足で氷をマッサージするような動きは非常にユニークだ」
1998年のオリンピックチャンピオン、タラ リピンスキーは簡潔な彼女の分析をNBCでしている。
「彼が氷に触るとき、まるで魔法みたいよ」
おそらく、羽生がFSのために氷に降りたときのリードのコメントがベストだろう。「フィギュアスケートの神だ」そうリードは羽生を紹介した。
友野が3位
友野はスケートカナダで残念な9位に終わった後、ロシアでは羽生と一緒に表彰台に登るために戻って来た。SPは4位、彼はFS「リバーダンス」に全てを注いだ。
友野は2つのクアドと5つのクリーンなトリプルジャンプを着氷し、彼の初めてのGPシリーズメダルを手にいれた。
ハワーズ
は友野のFSでの様子を気に入ったようだ。
「センセーショナルだ。素晴らしいプログラム!彼は初めから終わりまでキャラクターを保っている。大きなジャンプに集中しても、それが他をおざなりにさせない。非常に繊細なスケートだ」
友野のエレメンツを確認しているとき、ハワーズは大阪生まれの友野の競争におけるバランスに乾杯した。
「メンタルもフィジカルも非常に強いアスリートだ。彼がした全てのことは、彼が目的があってしたことだ。全てに意味がある。ジャッジにとって非常に注目すべき点だ」
グリノーブルへ。
GPシリーズはついに最終戦、1968年のオリンピックが行われたグリノーブルで行われるフランス杯を残すのみとなった。
再び、たくさんの戦いが見られるだろう。紀平梨花と三原舞依はGPファイナルへの出場をかけて戦い、本田真凛もそこへ戻ろうとしている。
紀平の衝撃的なNHK杯でのパフォーマンスはGPファイナルへの道をかなり確実なものにしている。表彰台に登ればこのヤングスターはファイナルに行ける。
NHK杯で4位だった三原はフランス杯で優勝しなければいけないが、それでも他の選手の結果次第では涙を飲む可能性もある。三原のトレーニングパートナーである坂本花織はスケートアメリカで2位、ヘルシンキ杯で3位だったため、三原がGPファイナルに行ける場合は坂本はGPファイナルにいけなくなる。
今決定しているのは、宮原知子とロシアのエリザベータ トゥクタミシェワの二人。残りの4つの席は今週末どうなるかによって決まる。(注:ザギトワも2大会優勝でGPファイナル決めてますので、残りは3枠です)
最もあり得るシナリオは、紀平が今回も上々の成績をあげ、バンクーバーで宮原、坂本と共に半分を日本人が埋めることだ。
ロシアカップの前はスケートカナダでほとんど優勝しそうだった山下真湖を含めて6人中4人を日本人が埋めるかと思われたが、彼女は残念ながら、そして驚くべきことに7位でロステレコム杯を終えている。
広島で2つのトリプルアクセルをFPで跳び、勝利を手にした紀平はクアドジャンプも今後準備していると話した。
「今は、トリプルアクセルを含めたSPのレベルを上げることができたら、両方のプログラムが完璧だと言えると思います。そうなったら、将来的にクアドを練習していきたいです。練習での成功率が上がって来たら競技会でも取り入れたい。だからクアドジャンプも練習したいです」
一方三原は、翌日のエキシビジョンの前に自身のパフォーマンスを見直していた。
「まだまだやるべきことが沢山あります。まず初めに、まだそんなにできてないと思います。ちゃんと強みを保ちつつ、弱いところをしっかり練習していきたいです。コーチの中野先生や日本スケート連盟のスタッフが私に言ったことです。ひとつひとつ問題をクリアするために、彼らのアドバイスに従ってしっかり練習したいです。」
三原はまた、坂本の才能と不屈の精神に対する敬意についても話してくれた。
「かおちゃんは、すっごくパワフルで、私たちは同じリンクにいます。トップに行くに従って、それぞれ完璧な演技とパワーが必要です。何をしたらいいかわからないけど、でもいつもかおちゃんをすごく近くでみているので、彼女から学んで、彼女のガッツを分けてもらっています。」
白岩へのファンのサポート
先週非常に心温まる出来事があった。モスクワで5位に入った白岩優奈がクラウドファンディングキャンペーンを始め、2022年の北京オリンピックに向けた彼女のトレーニングにかかる費用の助けを求めた。
先週の木曜日に400万円を求めてファンディングを開始し、その丁度24時間後、800万円以上の投資が集まった。約1週間後には、その額は1200万円にまで登った。
この16歳の求めに対するサポートの厚さは、日本のスケートファンがどれだけスケーターを愛しているかを表している。2000人以上の人が千円~5万円の投資をしているのだ。
IceTimeは白岩に投資した全ての人に乾杯したい。