ICE TIME全訳「紀平梨花は、今や世界選手権の優勝候補」
今回も読み応え・・・・・・・
JackさんのICE TIMEです。
梨花ちゃんだけでなく、かおちゃんやさっとん、昌磨、高志郎くんについての海外コメントも拾えるのがありがたいですね。
紀平梨花は、今や世界選手権の優勝候補
紀平梨花のスーパーシーズンが続いている。バンクーバーのBritish Columbiaで開催されたGPファイナルでも素晴らしい勝利を手にした。この新しいスターはオリンピックチャンピオンのザギトワを下して優勝したのだ。
16歳の紀平はこれまで今シーズン出場した4試合すべてで優勝しており、全日本と世界選手権でも優勝の本命視されている。彼女は今打ち上がったロケットに乗っており、打ち負かすのは難しいように見える。
カナダでは予定していた3つのうち2つのトリプルアクセルしか着地することができなかったが、総合233.12点を獲得して226.53だったザギトワに勝った。3位は同じくロシアのトゥクタミシェワ、215.32点。
ただ「紀平が勝った」という事実がアナリストやファンを盛り上げているだけではなく、その勝ち方にも注目がある待っている。彼女のジャンプは非常に安定感があり、そして何よりも、彼女の曲の解釈やスケーティングスキルは本当に特別なのだ。
紀平は土曜日の勝利の前、木曜日にはSP「Clair de Lune」で82.51点を叩き出し、2位のザギトワと5点近くの差をつけて1位にたった。
JGPファイナルをYoutubeで解説していたテッド・バートンは後日、ザギトワがTVのケーブルに躓き、FSを棄権するかどうか検討していたと暴露した。
だがすでに、紀平のエレガントなパフォーマンスの付随的な話にしかならなかった。
タラ・リピンスキーはNBCで解説をしているとき、紀平のSPに夢中になっていた。
「なんてスターなの!彼女はただ氷の上を浮かんで滑っているようだわ。彼女のジャンプは見事よ。彼女は観客とも繋がっている。素晴らしいスケーティングスキルよ。彼女こそが、スケーターだわ」
リピンスキーとそもに解説をしていたジョニー・ウィアーも紀平に衝撃を受けていた。
「彼女は爽やかで、空気のようだ。あのジャンプは、どんなスケーターにもなれるよ、男子、女子、ペア、ダンス、羨ましい!」
FS「Beautiful Storm」最初のトリプルアクセルを失敗したにもかかわらず、SPと変わらぬ賞賛を受けた。
「とてもとてもとても勇気のあるスタートに続く、素晴らしいスケートだ」ユーロスポーツのクリス・ハワースはコメントしている。「簡単に崩れることも可能だったけど、彼女は持ち直して集中を保った。完全にセンセーショナルだ。彼女は本当に鋼の心を持っているよ」
紀平はFSで7つのトリプルジャンプを跳んでおり、これについてCBCのコメンテーターであり4度の世界チャンピオンであるカート・ブラウニングは彼女の不屈の精神を讃えている。
「彼女はアタックとエネルギーでスケートしている。プログラムをジャンプで終わるスケーターとしての彼女の人格にマッチしているようだよ。」紀平のトリプルサルコウの後にそうコメントした。
「彼女の本当に秘密兵器は、彼女の精神的な強さだろうね。彼女をみていると、回転がすごくタイトでクリーンだ。パトリック・チャンも、細かいところだと言っていた。彼女のスケートのディテールが素晴らしいと言っていたよ。」
「彼女のトリプルアクセルについて夜通し話しができるけど、でもそれだけじゃなくて全てが素晴らしいわ」
1998年のオリンピックチャンピオン、リピンスキーは紀平のオールラウンダーな能力をそう湛えた。
「彼女のジャンプは本当に素晴らしいから、そこにばかり注目してしまう。だけど私が興味を惹かれるのは、彼女の年に合わない成熟さよ。彼女のスケーティングスキルやリンクの使い方には確固たる地盤と基礎があるわ。」
ウィアーは、なぜ紀平がこんなにも確固たるジャンパーに思えるのかを説明した。
「彼女のテクニックは、完璧な肩の構えによると思う。多くのジャンプの時、肩がお尻をちょうど超えたあたりにあってそれが安定感を作り出しているんだ」
紀平は、FSが完璧ではなかったと優勝後の会見でコメントしている。
「GPファイナルという大きな大会でこのような演技ができたことが嬉しいです。完璧ではありませんでした。最初のジャンプにミスがあったので。でもそのあとでミスなく滑ることができたので、そのことは良かったと思います」
去年の全日本ジュニアチャンピオンである彼女は、この結果は彼女の期待を大きく超えるものだとコメントした。
「今シーズンのゴールは、シニアでランクに入ることだったんです。GPファイナルは全然考えていませんでした。オフシーズンから本当にすごく練習したので、その練習の成果が出ていて嬉しいです。大きな大会でも自分の気持ちをコントロールして演技することができました。」
兵庫県生まれの紀平は、このGPファイナルの勝利が残りのシーズンにプレッシャーになるかを問われてこう答えた。
「自信になると思います。プレッシャーは特にないです。すごくいい経験でした。プレッシャーの代わりにもっと先に行くモチベーションになります」
魅了された観客
土曜日の紀平の演技に特に魅了されたファンがいる。名前はジェニファー・トーマス。「Beautiful Storm」を作曲したピアニストだ。彼女はシアトルの家から紀平を見るためにやってきていた。
紀平の勝利の後、彼女はこうツイートしている。
「おめでとう!直接みられて感動したわ!私の音楽を本当に美しく解釈してくれた」
トーマスは2007年に発表したこの曲についてWebsiteにこう記している
「この曲はハワイのビーチを見て生まれました。すごく強い風で、大きな波がぶつかっていたけど、空気は暖かく澄んでいて頭上には月が見えました。すごく綺麗だった」
坂本センセーション
坂本花織はFS「The Piano」でのダブルトゥに転倒があり、211.68で4位。表彰台を惜しくも逃した。
その転倒以外は、坂本は素晴らしかった。彼女の強さが、再び大部隊で輝いたのだ。7本のトリプルジャンプを着氷し、全てのステップとスピンでレベル4を獲得した。
ユーロスポーツのサイモン・リードはこうコメントしている。
「彼女はどんどん良くなるね。彼女は凄まじいコンビネーションを飛ぶね。すごいアスリートだ。とても強いよ。それにバレエのようなクオリティもある。なんてプログラムなんだ。音楽とともに素晴らしい気持ちにしてくれた」
もし坂本をただのジャンパーだと考えていたら、それは間違いだ。彼女は曲の解釈や表現でも大きく成長している。
ハワースは「ブノワ・リショーのこの淵付けが本当に好きだ。彼は素晴らしい仕事をしてくれた。本当に彼女のスケーティングスタイルに合っているよ。コンテンポラリーな動きもある。本当に素晴らしい。彼女はファンタスティックな技術を持ってるね、もうそれは疑いようがない。すごい上昇だよ(ジャンプの高さ??)アジアのスケーターには珍しい。
すごいエネルギーとともに柔らかさも併せ持って、それがひとつひとつの全てのエレメンツに宿っているのが本当に素晴らしい。彼女はバランスを完璧にとっている」とコメントした。
宮原、苦しんだ6位
4度の全日本女王の宮原知子はトリプルルッツに苦しみ、201.31で6人中6位となった。FS「Inviero Porteno」最初のトリプルルッツでアンダーローテーションとなり、二つ目はダウングレードとなった。
昨年のGPファイナルでは5位だった宮原は、SP「子雀のための歌」でもトリプルルッツで回転不足となった。
彼女のこの結果は、来週の全日本を非常に興味深くしたと言える。スケートアメリカでの優勝とNHKで2位を獲得したあとは彼女の世界選手権派遣は決定されたように見えていた。
もしも来週の大阪で宮原が表彰台を逃すようなことがあれば、日本スケート連盟は誰を世界選手権に派遣するかで非常に頭を悩ませることになるだろう。
宇野、再び銀メダル。
オリンピックと世界選手権で銀メダルだった宇野昌磨は、去年の世界選手権、GPファイナルに続いて再びネイサン・チェンの後塵を拝した。去年のGPファイナルでは1ポイント以下の差だったが、今回は7点差となった。(282.42と275.10)
宇野はFS「月光」で4本の四回転中2本しかクリーンに着氷できず、トリプルジャンプでも苦しんだ。
ハワースは、宇野が四回転を飛ぶことに慣れすぎてトリプルジャンプに問題が起きていると分析した。
「全てのジャンプがちょっと回りすぎているんだ。トリプルサルコウやトリプルトゥのような簡単なジャンプでも。彼がいつでも全力でいって、なんとか四回転目に入るのを食い止めているのがわかると思う。」
ウィアーは、宇野はチェンよりも回転がいいスケーターだと感じている。
「彼はすごいスピナーだよ。彼のステップはちょっと抑えきれてない。ネイサン・チェンよりも優れたスケーティングスキルを持っていると思うよ。ネイサンの技術はまるでスイスの時計みたいに正確で、いつでも信頼することができるんだ」
ウィアーは、宇野が上半身と下半身の調整がジャンプの問題だとも見ている。
「ランディングの時に彼の上半身がすごくきつそうに見える。でもほとんど全てのジャンプで膝がなんとかしてくれてるんだ」
ブラウニングは宇野の失敗にもかかわらず彼のFSを高く評価し、彼のスケーティングが非常に成長したとコメントした
「僕はいつでも彼のスケートと、あの飛ぶようにアイスリンクを駆け回るのを見るのが本当に好きなんだ。それにあの膝は素晴らしいね。だけど時々、彼のプログラムがちょっとモノトーン(単調)であるようにも感じる。店舗や、ステップのつなぎなんかが。物事のリズムを急に変えたように思うね」
島田が銅メダル
島田高志郎が、カナダのステファン・ゴゴレフが優勝したジュニアGPファイナルで銅メダルとなった。17歳の彼はFS「ブエノスアイレスの冬」のトリプルフリップで転倒した。
バートンはここ数ね、松山生まれのこの17歳を追っている。Youtubeでこのようにコメントした
「幸運なことに、彼と何度か話しをする機会があったよ。彼は本当に賢いね。それにポジティブな人間だ。」
バートンは彼のFSをレビューする間、彼を讃えた。
「彼は音楽をよく聞いて、焦ることをしない。いいことだ。時間をとって、彼自身の振り付けを保っている。もう少しポジションの詳細に洗練が必要だね。ポインテッドトゥ、フリーレッグのポジションなんかに。シニアに上がった後は顕著だろう。
いいスピードとパワーを保ったプログラムだよ。細かいところをいうのは意地悪に聞こえるかもしれないけど、でもそうした違いがトップスケーターとそうでないスケーターの違いになるんだ。特にシニアではね」